第3話 とある商店街の空き店舗へ(解説)
小説「シンダンシ!」第3話の解説です。小説はこちら。
僕:第3話は、針宮さんが大学生だということがわかったところで終わりました。キメポーズでしたね。
針宮さん:普段そんなことしませんけどね。小説だからです、フィクション。
僕:大学生でも中小企業診断士として仕事ができるんですね。
針宮さん:めずらしくいい質問です。今回は中小企業診断士になるための条件についてお話ししましょう。
僕:勝手に決めちゃったよ。
針宮さん:中小企業診断士になるには試験に合格しないといけません。1次試験はマーク式で7科目あります。2次試験は記述式試験と口頭試験の2段階です。
受験資格にはなんと、年齢、学歴ともに制限がありません。
ということはですよ、最年少合格を狙って小学生が受験してもよいわけです。小学生中小企業診断士が誕生したら、テレビのニュースで取り上げられそう。テレビに中小企業診断士の話題が取り上げられるなんてうれしいことですね。
その子のキャラが立っていてタレントみたいに扱われ、テレビ番組にレギュラー出演なんてことになったらどうしましょう。小学生受験者が続出したりして。町のあちこちにポスター貼られたりして。中小企業診断士の時代がすぐそこですよ。(※)
僕:妄想を広げすぎです。現実はそんなに甘くありませんよ。
針宮さん:すみません、暴走しました。
もうすこし詳しい話をしますね。
針宮さん:1次試験には科目免除という制度があります。弁護士には法律の知識が十分あるでしょうということで経営法務という科目は受けなくていいですよ、などの制度です。
いい点を取れそうだから受験してもよいのですけどね。1次試験合格には受験した科目で平均60%以上の正答率が必要ですから。
それから、前年の1次試験で不合格だった場合、60%以上の正答をした科目を申請により免除してもらえます。科目合格といいます。受験してもいいのは科目免除と同じです。
僕:一発勝負ではないんですね。受験生は希望をもてそう。
針宮さん:1次試験に合格すると2次試験が受けられます。しかも1次試験に1回合格で2回チャンスがあります。2次試験に不合格でも、つぎの年に1次試験免除で2次試験が受けられます。2次試験の勉強に集中できてお得です。
僕:ここでも一発勝負ではない、なかなか親切な試験です。
針宮さん:でっしょう? 受験したくなってきたんじゃないですか。
僕:いえ、まったく。
針宮さん:2次試験は記述式試験と口頭試験にわかれています。記述式に合格しないと口頭試験に進めません。口頭試験を実施するの大変ですからね。
僕:口頭試験なんて、僕だったら緊張しちゃってダメそうです。
針宮さん:試験員は中小企業診断士だからやさしく対応してくれますよ。答えを考えているうちに質問内容がわからなくなったなんてときには質問を繰り返してもらえます。
僕:話を聞いているだけで緊張してきた。ちょっと。
針宮さん:どこ行くんですか。
僕:トイレですよぅ。
針宮さん:もどるの遅いから逃げたかと思いましたよ。
僕:遅くありません。せっかちですね、針宮さん。
針宮さん:1次試験、2次試験と合格すると中小企業診断士になれるかというと、まだです。実務補習というのを受けないといけません。これは、実際の中小企業診断士業務を体験してもらうという制度です。
僕:そこでしくじると。
針宮さん:ガンバって試験に合格しても中小企業診断士になれません。(にっこり)
僕:そんなー。
針宮さん:5名程度でチームになって取り組むから大丈夫です。それに中小企業診断士が指導員としてつきます。安心ですね。
僕:そんな難関を乗り越えて、針宮さんは大学生にして中小企業診断士になったのですね。
針宮さん:そうですよ。(えへん)
針宮さん:1次試験に合格したあと2次試験と実務補習を受けずに中小企業診断士になる方法もあるんですけど、もう文字数がオーバーしていますね。またの機会にお話しします! 小説の第4話、読んでくださいねー。
(※)作者注
中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則というものがありまして、実は未成年の登録は拒否されます。試験に受かったんだから登録したってよいのではと思いますけれど。つまらないの。